こんにちは。竜也です。読んでいただいて、ありが湯ございます。
嗚呼、憧れの湯田川温泉…。一度、私がどうしても行ってみたかった温泉エリアでした。首都圏の人間からすると、湯田川温泉は直線距離では遠く見えないのですが、公共交通機関を使うと結構な距離なんですよね。でも、お湯が良い!そして庄内の食事がよい!ということで、湯田川温泉に行った私の知る人はほとんどの人が感動しているのです。中でも今回宿泊する「九兵衛旅館別館の珠玉や」と、「九兵衛旅館の本館」は、非常に評価が高くファンの多い宿でもあります。
今回は、「九兵衛旅館、別館の珠玉や」に泊まりましたが、私も例にもれずファンになってしまいました。
この時は、私は東京からではなく、前日に越後湯沢のNASPAニューオータニに泊まり新潟側から回り込んで鶴岡エリアに来ています。
・2022年9月25日訪問
湯田川温泉への遠き道のり
もし東京から湯田川温泉に向かうとすると、
上越新幹線で東京から新潟まで約2時間
↓
特急稲穂で新潟から鶴岡まで約2時
↓
鶴岡から庄内バスにのって約30分
これに、乗り換えの待ち時間が発生するので、軽く5時間〜6時間かかるので結構遠いです。
今回、私は越後湯沢に前泊しているので、越後湯沢を出発して、まずは乗り換えの起点新潟駅に向かいました。そこからJR白新線の特急いなほに乗って鶴岡に向かいます。
青いフォルムがかっこいい
この「特急いなほ」ですが、景色が素晴らしい!海岸線沿いを走るので海がすごいきれいに見えます!ただ、ところどころトンネルにはいったりでWifiの繋がりが悪いんですよね…。この時、特急の中でネット回線が必要な作業をしていたのですが、あまりにWifiが途切れてしまうので、途中であきらめてしまいました。「いなほ」での電車内リモートワークは厳しいかも。
鶴岡に着いたら、庄内交通のバスにのって25分ほど揺られて湯田川温泉に。バスの乗車時間がそこまで長くないのは良いですね。ちなみに、鶴岡駅には周辺の地域の代表的な銘菓などお土産が変えるお店があったりと、乗り換えまでの時間も買い物が楽しめて時間つぶしもできます。
湯田川温泉ってどんな温泉
湯田川温泉ですが、山形県の鶴岡市にあり、「鶴岡の奥座敷」と呼ばれている温泉地です。先程説明したとおり鶴岡市からバスで25分ほどの距離にあります。約1,300年ほど前、西暦712年に開湯されたかなり歴史の古い温泉です。発見は温泉で傷を癒やしている白鷺を見つけたことがきっかけだったようです。共同湯の数は2件、温泉宿は8件と、温泉街としては小規模です。
温泉の泉質は、ナトリウム・カルシウム-硫酸塩温泉で、おそらく全ての宿が同じ源泉を利用しており、源泉の種類も同様ではないかと思います。(間違えていたらご指摘ください)湯量は豊富で、どこの宿でも源泉かけ流しが楽しめます。
さらに嬉しいのが、湯田川温泉の宿の多くが一人宿泊を受け付けているところです。宿によっては平日のみ一人宿泊を受け付けているケースもあるかもしれませんが、湯田川温泉では土日祝日も一人宿泊を受け付けている宿が多く、私のような一人旅を好む人間にとってはこの上なく嬉しいポイントです。今回宿泊した「九兵衛旅館別館 珠玉や」や、「九兵衛旅館本館」も、土日の一人宿泊を歓迎している宿です。これだけでも好きな温泉地になってしまいそうです。
九兵衛旅館別館 珠玉やの施設と温泉
まずは珠玉やへチェックイン
さて、バスで湯田川温泉に到着したらさっそくチェックインです。九兵衛旅館別館 珠(たま)やは、14:00からという早めの時間にチェックインできて、チェックアウトも11:00までと遅めに設定されている嬉しい宿なのですが、悲しいことにバスで来る場合15:00過ぎに到着で、9:30のバスに乗らなくちゃ帰れないんですよね…。バスの本数が少ない…そして時間設定…。自家用車で来る人は早いチェックインと遅いチェックアウトを活用しやすいのですが、私のような一人旅公共交通機関利用者にはもったいないです。
ということで、15:00過ぎに珠玉やにチェックイン。ロビーフロアで貸切風呂の使い方など丁寧な説明を受けて部屋の鍵をもらいます。
九兵衛旅館 珠玉やの部屋の様子
今回は、四階にある部屋「ぼたん」へ。部屋の広さは8畳ほどでしょうか。ひとりで泊まるには十分な広さです。
布団はチェックイン前から敷いてあります。洗面所、ウォシュレット付きのトイレ、風量十分なドライヤーなど、快適に過ごすための設備は一通り揃っています。座椅子も座りやすいですし、Wifiの速度も快適でした。
部屋に入ると、冷蔵庫にはウェルカムドリンクとして、山形の100%桃ジュースと、サツマイモの生菓子(?)が入っています。チェックイン時のお菓子で、冷蔵庫で冷えたお菓子がでてくることはめったにないのでポイント高いですね。とても美味しかったです。
また、今回、私が泊まった部屋がたまたまなのかもしれませんが、4階で眺望が大変良く、写真では分かりにくいですが遠くに日本百名山の鳥海山も見えました。
九兵衛旅館別館 珠玉やに関しては、もちろん部屋も居心地は良いのですが、飛び抜けているということはなく、本領発揮は温泉と食事になります。
九兵衛旅館 珠玉やの温泉について詳しく解説
九兵衛旅館本館と、別館の温泉相互利用のシステム
さて、九兵衛旅館珠玉やの本領発揮はここからです。九兵衛旅館珠玉やは、温泉が3つあるのですが、なんと全部貸し切り!しかも札がかかっていなければ何回でも入れるという、「空いていたら自由に入ってね」方式になります。
九兵衛旅館本館と、こちらの別館の珠玉やの最大の違いが何かというと、このお風呂の完全貸切のシステムになります。九兵衛旅館本館は、山の湯と川の湯という2つの大浴場があって、男女入れ替え式のシステムになっており貸し切りではありません。
ただ、九兵衛旅館本館の温泉、とくに川の湯は下の写真のように、浴室に水槽があって金魚が泳いでいるという、大変風情のある作りになっていてこれもまた捨てがたいです。
九兵衛旅館ホームページより
http://www.kuheryokan.com/onsen/
ちなみに、九兵衛旅館本館と九兵衛旅館別館珠玉やでは、それぞれの宿泊者は泊まっていない方の温泉も14:00〜翌日の10:00まで利用して良いしくみになっています。そのため、この味のある本館の温泉にも入ることができるんですよね。
個人的には、本館と別館だと、別館に泊まるほうが温泉に関してはおすすめです。やはり貸切風呂に入りたい放題というのは大きいです。
本館の広い温泉に入りに行くときも貸し切りではないので時間を気にせず何時にでも行くことができます。対して、本館に宿泊している人が別館の珠玉やの貸切風呂に入りに行く時、いつ入りたい浴室が空いているかがわからないんですよね。近いとはいえ、本館から別館へは少し歩かなくてはいけないので、わざわざ歩いていったのに、入りたい浴室が利用中…というパターンはかなりありえるかなと思います。
特に、後述の別館の5階の展望風呂「まんてん」は人気があるので、なかなか入れなそうです。別館に宿泊していれば、ちょいちょい温泉の空き状況をこまめにチェックできるので、「まんてん」も含めて3つのお風呂すべて入りやすいんですよね。
ちなみに、「九兵衛旅館別館 珠玉や」の部屋数は8部屋だけなので、3つの貸切風呂が全部埋まりっぱなしということはほぼありません。本館の人がお風呂に入りに来るタイミングは、おそらく食事の前後くらいの時間が一番多いかなと思うのですが、それ以外は、おおよそ空いています。自由に貸し切りだから3つとも入浴中の札がかかっていて入れない!ということは繁忙期であっても滅多にないと思います。
これがもし予約制だと、予約した時間を気にしなくてはいけなくて窮屈なのですが、珠玉やの場合は、それもなくて個人的にはこの仕組は本当に嬉しいです。
3つある貸し切り温泉
さて、3つある貸し切りの浴室について解説していきましょう。最初に断っておくと、泉質は全部一緒です。泉質の詳細は後ほど。温泉の利用時間は14:00〜翌日の10:00まで、深夜でも入浴可能です。
まずは、おそらく一番人気の「まんてん」から、浴槽は3つ貸切風呂の中では小さめなのですが、こちらの温泉のポイントは、5階からの絶景ですね。周囲に高い建物がないので景色が抜けています。晴れている日はまっさきに狙いに行きましょう。夜だとパノラマが楽しめないので、チェックイン後か朝が狙い目です。
次が、大檜風呂の「ゆうぎり」です。浴槽がかなり大きく、5,6人は楽々入れます。家族で使うのに良いですね。この広いお風呂を、一人利用でも独占できちゃうのは嬉しいですね。
最後が、小檜風呂の「あさつゆ」です。こじんまりとしていて特に展望もないので、3つの浴室の中では一番地味だと思います。その代わり、次に入りたい人が少なそうなのでゆっくり入っていても後ろの人を気にしなくてよさそうですね。
私が宿泊した限りですと、やはり5階の展望風呂「まんてん」が一番入浴中の札がかかっていることが多かったですね。それ以外の浴室については、比較的空いています。どれも、かなりドバドバと新鮮な源泉かけ流しのお湯が注がれていて最高です。
ちなみに、各温泉の脱衣洗面スペースにはドライヤーは置いていません。次の人のために、前の人に長く専有されないために意図的にそうしているようです。部屋で乾かしてね、ということです。これもお風呂が混みにくくなる配慮で良いですね。
湯田川温泉 九兵衛旅館別館 珠玉やの泉質
先に、湯田川温泉全体の泉質について…。結論から言うと素晴らしい泉質と湯の提供状態です。湯田川温泉は、温泉地の規模に対して湯量が十分ということで、まずは2箇所の共同湯は加温なし、加水なし、塩素投入なしの100%源泉かけ流しになります。
提供している源泉の名前は「湯田川1号泉」で、おそらく共同湯に限らず多くの宿がこの源泉を利用していると思われます。例に漏れず、珠玉やも「湯田川1号泉」を利用しています。
泉質は、「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩泉」。源泉温度は40℃〜44℃で、源泉の提供温度が入浴温度にかなり近く湧いたお湯すぐに入れるため、かなりフレッシュな提供状態であることが想像できます。
泉質を細かく見ていきましょう。
溶存物質は、1kgあたり1,169mgとそれなりの濃度です。特に成分が多いのが硫酸イオンの694.8mg。半分以上が硫酸イオンです。そのため硫酸塩泉としての性質がかなり強い温泉です。続いてナトリウムイオン207.8mg、カルシウム148.0mgと続きます
美容成分のメタケイ酸は40mgでそこそこといったところでしょうか。
ナトリウム・硫酸塩泉の成分なので、高血圧や、動脈硬化への効果が期待できます。また、カルシウム・硫酸塩泉の性質もあるので傷、動脈硬化症、脳卒中、皮膚病やリウマチへの効果も期待できます。かなり効能が豊富な泉質ですね。ナトリウムの効果で温まり効果もあります。phは8.6%でまずまずのアルカリ性の温泉です。
実際に、私自身が入った感じでは、新鮮でトロリとした浴感です。無色透明無味無臭(MTMM)の温泉ですが、成分はしっかり感じられる良泉です。何度も入りたくなります。成分も濃すぎないレベルなので、そこまで湯疲れはしないタイプの温泉です。
まさに、通いたくなる温泉ですね。本当に良いです!
「珠玉や」の温泉の提供状況については、温泉表示を確認したところ、加水なし、循環ろ過なし、入浴剤・消毒なしなのですが、唯一「加温」のみされている表記がありました。先程触れたとおり、湯田川温泉の源泉提供温度が40℃〜44℃と低いので、冬場などは加温しないと低くなってしまうのかもしれませんね。
この記事で訪れたのは9月末だったのですが、その際はまだ暖かかったので加温は特にされていないかもしれませんね。後に取り上げる共同湯の「正面の湯」に比べて泉質が劣るという感じはありませんでした。
九兵衛旅館別館 珠玉やの温泉の泉質状況については、先に触れたとおり、共同湯で提供しているのとほぼ同じ、「湯田川1号泉」を贅沢な湯量でかけ流しており、素晴らしい泉質を楽しめます。
唯一の違いとして、加温の有無があるので、どうしても加温されているのが嫌!という方は、次に紹介する近くの共同浴場に行ってみると良いでしょう。
せっかくなので共同湯へ
基本的に、珠玉やの温泉も共同湯も泉質が一緒なのですが、せっかくなのでということで…、共同湯の「正面の湯」にも行ってみました。
湯田川温泉には「正面の湯」と「田の湯」という2つの共同浴場が比較的近距離にあるのですが、今回は「正面の湯」に行ってみました。
写真の通り、非常に風情のある建物です。
こちらの温泉は、九兵衛旅館別館 珠玉やの宿泊者ですと無料で入ることができます。おそらく湯田川温泉の他の宿でも同じシステムではないかと…。宿泊客ではない場合は入浴料は200円です。
宿泊客の場合は、宿の人に「正面の湯」に入りたい旨を伝えると、一緒に建物まで行って、オートロックの鍵を開けてくれます。わざわざ同行してくれるのでちょっと申し訳ないのと面倒ですよね…。帰りの扉は内側からは開けることができるのでそのまま帰ることができます。(一度出たらオートロックのため入れなくなります)建物自体は、管理人が常駐していないためこのような仕組みになっているようです。
さて下駄箱をすぎると小さな脱衣所があって、すぐに浴室になっています。浴室、浴槽のはこんな感じです。かなりの勢いで浴槽に源泉が流れ込んでいて、ひと目で新鮮な温泉だと理解できます。実際に入ってみると…やはり素晴らしい。トロトロの湯がたまらない。
でも、ぶっちゃけたところ、九兵衛旅館別館 珠玉やの貸切風呂と入浴した感じ、大きな違いはないですね。源泉同じですしね。むしろ完全独占できるのと、リットルあたり多くの人が入浴していない点を考えても珠玉やの貸切風呂の方がよいのでは?と感じました。
「正面の湯」は別記事で詳しく書きましたので、ご参考に
九兵衛旅館別館 珠玉やの夕食。最初から最後まで感動の連続
さあ、お楽しみの夕食です。夕食の開始は最速で18:00から。九兵衛旅館本館、別館、それぞれ泊まった人の話を聞くと、食事がすごく美味しい!ということで共通しているんですよね。結論から言うと、本当に素晴らしかった。この料金帯の宿では頭一つ二つ抜けていました。
特筆すべきは、最初にでてくる「だだちゃ豆のムース」。感動レベルで美味しかったです。このムース、最高の味で提供するために、宿泊者が食堂にくる直前(たぶん数分前くらい)に作るらしいです。そのこだわりが味に活きています。
デザートのあんみつも自家製。美味しい。
やはり最初と最後のクオリティが高いと全体の評価が跳ね上がりますよね。メニューとして、楽しめるように工夫しているだけでなく、調理そのものの技術も高く、これは誰にでもおすすめできます。お造りも美味しかった!
朝食 – 稀に見る朝食で豪華デザート
珠玉やの真骨頂は朝食です。おそらくこの朝食は、温泉宿においてかなり特異なのではと思います。というのも、もちろん朝食自体のクオリティは高く美味しいのです。ただ写真の通り、朝食のメニューはすごく変わったものではなくスタンダードに食べやすいメニューが並びます。むしろこの後のために胃もたれしにくい布陣なのかなと。
注目は朝食のメインメニューの後です。なんと、夕食ばりに豪華なデザートを朝からいただけるのです。デザートですが二皿でてきます。
まずは、コーヒーブラマンジェ。これ色が白いのですがコーヒーの香りを移したデザートなんですよね。確かにコーヒーの風味がします。でも白い。絶品。
そして、アイスと、わらび餅が出てきます。
朝に贅沢デザートという発想がなかったので、これは驚きました。そして本当に美味しい。否が応でも満足度が上がってしまいますよね。
食後には1階のロビーでコーヒーサビスもあります。これまたコーヒー好きの私にとっては嬉しかったです。旅館だと、朝コーヒー飲めないところ多いんですよね…。
ちなみに、朝食は最速で7:50スタートになります。
総評 – お湯よし、食事よしの素晴らしい宿です
ということで、九兵衛旅館別館 珠玉やですが、リピートしたくなる素晴らしい宿でした、まずは、温泉が貸切利用が前提になっている点。そして十分にお風呂も空いているので、かなり余裕をもって温泉を独り占めして楽しめる、しかも源泉かけ流しということで、満足度が高かったです。
さらにプラスして食事のレベルが本当に高かった。調理技術が高い上に、私達を楽しませるための工夫もしっかりされていて、食事は夕食、朝食ともに満点といって良いです。あー、湯田川温泉がもっと近くにあれば…。次回は、連泊でのんびりしたいです。
宿としては、温泉の泉質と快適さと食事にパラメータを思いっきり振り切った宿という評価です。接客は付かず離れずで、部屋も特別広かったりハードが飛び抜けているわけではありません。「温泉宿は、温泉と食事が重要!」人にとっては最高ですし、部屋や共用スペースなどハードの快適さを追求する人は若干評価が落ちるかもしれません。
「温泉は良いんだけど、食事がなぁ〜…」といった宿が多い中で、個人的には希少でかなりイチオシの宿です。良い滞在だったなぁ。
今日も良い温泉を、ありが湯ございました!
湯田川温泉はいいぞ。
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