肘折温泉 若松屋村井六助 宿泊レポ – 源泉かけ流しの自家源泉極上湯と食事のレベルが高い、高コスパの宿

こんにちは。竜也です。読んでいただいて、ありが湯ございます。

日々の生活にすごく不満があるわけではない、でも疲れた。日常から離れた環境で身体を休めて、少し自分を見つめ直したい。そんな気持ちのときにうってつけなのが、山形県の肘折温泉です。

肘折温泉の歴史は、温泉史の中でもかなり古く、開湯は平安時代初期の807年と言われています。肘の骨を折った老僧が湯に使って、傷を癒やしたことから「肘折温泉」の名前がつけられたようです。そこから長年、湯治の温泉地としての歴史を重ねて現在に至ります。実際、集落の雰囲気がが味わい深い!

現在、温泉宿は約20軒ほどですが、どの宿も源泉かけ流しで、湯のレベルが高い温泉地です。しかも自家源泉を所有している宿も複数あります。

今回、私が滞在した「若松屋村井六助」も、自家源泉を持つ宿の一つです。ちなみに、肘折温泉は、人の名前?がついた面白い屋号の宿が多いんですよね。文化ですね。もちろん、一人宿泊歓迎の宿です。

・2022年10月03日訪問

肘折温泉への道のり

公共交通機関で肘折温泉に向かう場合は、新幹線も停車する「新庄駅」から「大蔵村コミュニティバス」に揺られて55分ほどで到着します。昔は民営の山交バスが走っていたようですが2017年に廃線になり、今は村営のバスが動いているようです。新庄駅から肘折温泉までは600円で、時間と距離を考えると安いですね。

実は東京からですと、肘折温泉までは、新幹線で新庄駅まで一本で到着、そこからバスに乗り換え、ということで乗り換え1回で着いてしまいます。

時間にすると「東京- 新庄駅」間が3時間45分前後。「新庄駅 – 肘折温泉」間が55分ほどで、待ち時間なども含めると合わせて5時間ほどの距離なので、それなりに遠いです。

一方で、時間の多くが新幹線で、新幹線内を快適に過ごせる人からすると何度も乗り換えが必要な関東近辺の温泉地より、気持ちの上では楽に着いてしまいます。意外と便利なんですよね。

ちなみに、7:12東京駅発の新幹線に乗れば12:11分には肘折駅に到着します。今回、私はこの時間に肘折温泉に到着しました。目的のお昼ごはんのお店があったからなのですよ。

新庄駅に到着。

駅前はキレイですが静かですね。

バス停は、多くないのですぐに肘折行きが見つかります。

55分ほど揺られて肘折温泉のバスターミナルに到着。トイレもあります。

肘折温泉ですが、雰囲気が良い!これぞ湯治場といった情緒を醸し出しています。宿からお土産屋まで歩いているとワクワクするのですよね。朝になると路上で朝市も開かれています。最高ですね。

メインになる温泉街はこじんまりしていて、5分〜10分も歩けば端から端に行けてしまいます。

温泉街の様子。

建物の雰囲気が良い。

商店も雰囲気良し。

こんな感じで朝市やってます。

肘折温泉で美味しいお蕎麦を

肘折温泉に来たら、立ち寄りたかったのが、こちらの「そば処 寿屋」です。肘折温泉の中心街を北に抜け、銅山川にかかる端を渡るとすぐにあります。ここのお蕎麦とあるものが美味しそうだったのです。

右に見える黄色い建物が「寿屋」川の前の良い立地です。

店内。ぶら下がっている小判みたいなオブジェはなんだろう?

店内に入って、さっそく注文。

冷たい守りそばと「冷奴」そして「ざぶとん」を注文します。

ざぶとんって、どうやら関東の人間のいう「油揚げ」のことらしいのですが、この大きさのインパクトがすごくて、口コミなんかの写真を見ながら食べてみたかったのですよね。注文したら、来ました。がっつりネギとかつお節がのった「ざぶとん」が。

ざぶとん、と冷奴到着。

いやー、これ美味しいですね。おつまみ感覚で食べるのに最高です。私、お酒は飲まないんですが、お酒にもよく合うと思います。お蕎麦にも合いますね。

お蕎麦も到着。ざぶとんがでかいので小さく感じますが結構ボリュームあります。

そして、メインのもりそば到着。普通盛りにしましたが、結構ボリュームあります。さっそくいただいてみると…、美味しいです。そばはコシがしっかりしていてそば粉の味も味わえます。太さもある方ですね。そばそのものの味を楽しめるタイプのお蕎麦です。

周りを見渡すと、近辺からもお客さんがかなり来ているようで、地元でも愛されているお店みたいですね。

宿に向かうと気になるお店が…

腹ごしらえをしたら、チェックインです。

餅屋なのに…。

餅やってませんwなぜw

お店が閉まっていたのですが、開いているときに入ってみたい…。

若松屋村井六助にチェックイン。建物と部屋の様子。

なんと!13:00からチェックイン可能

少し早めの時間ですが、宿に行ってみます。なんと、若松屋村井六助さんですが、チェックインが13:00から可能です。これは、なかなか珍しいです。

他に、鹿児島にある妙見温泉の田島本館が13:00チェックインOKだった記憶がありますが、通常なかなかありません。これだけですごくお得ですね。

建物は、こちらの写真の右奥のしっかりした建物。(近くの写真も撮っておけばよかった…)

13:00過ぎに本当にチェックインできるのだろうかとドキドキしながら訪ねてみましたが、優しくチェックイン手続きを進めてくれました。通常の宿は15:00からが多いので2時間も滞在時間が長くなるので、すごくお得ですよね。ちょうどキャンペーン期間中だったらしく肘折温泉で使えるクーポン券まで頂いてしまいました。

過不足ない、きれいなお部屋

では、さっそくお部屋に…。

部屋に関しては、ザ・日本の旅館という感じで過不足のない感じです。建物は古いですがきれいに掃除がされていて居心地が良いです。窓からは、肘折温泉の通りをのんびり眺めることができます。ちょうど宿の下でも朝市をやっているようで翌朝には窓から朝市の様子を眺めることもできました。

部屋には、机、テーブル、鏡、冷蔵庫など必要なものが揃っていて便利です。布団はチェックイン時にすでに敷かれていました。ふかふかで気持ちの良いお布団です。

唯一、気になる人がいそうなのが、トイレが共用ということですかね。トイレは、とてもきれいでこちらも問題がありません。ただ、ウォシュレットではなかったかな…。

嬉しいのは、冷蔵庫が部屋に着いていること。トイレが共同のお宿ですと冷蔵庫も共用のことが多いので、とても嬉しいです。

Wifiの速度も早く快適です。こうすればもっと良くなるのに…といったところが見当たらない行き届いたお部屋です。営業努力をされているなぁと感じました。

必要なものが揃ったお部屋。

甘いお菓子だけでなく、こんぶ茶があるのがなにげに嬉しい。

浴衣、タオル、歯ブラシと最低限のアメニティ。

窓からは、情緒ある温泉街を望めます。

角度を変えて。一人泊には十分な広さ。

共用のお手洗い。

ウォシュレットはないですがきれいです。

きれいです。

廊下の様子。

自炊の方用のスペース。さすが湯治場の肘折温泉。

洗濯スペースもあります。

ロビーの様子。テーブルの上には美味しいお水が用意してあります。

若松屋村井六助の素晴らしき自家源泉 温泉

肘折温泉の泉質の基本

さて、いよいよ温泉です。まず、基本知識として肘折温泉の旅館、共同湯では、多少の違いはあれ同じタイプの泉質が提供されています。

基本的な泉質は、「ナトリウム – 塩化物・炭酸水素塩泉」になります。唯一、肘折温泉の中心地から少々離れた日帰り施設「黄金温泉 カルデラ温泉館」のみ炭酸泉の温泉が提供されていたと思います。

ほとんどの宿では、肘折温泉の組合が提供している、「組合○○号泉」(2号泉、3号泉が多い?)が利用されています。それに合わせて、宿毎に自家源泉を持っているところは、単体もしくは組合源泉と混合で提供されているイメージです。

そのため、肘折温泉でいろいろな宿の湯巡りをしても、湯の質自体に大きな違いがないため、同じ浴感が続きすぐに飽きてしまうでしょう。

一方で、肘折温泉で提供される温泉は、湯量豊富、すべて循環、塩素消毒なしの源泉かけ流しで(加水はあり)、非常に恵まれた温泉環境にあります。

あちこち移動せずに、じっくり一つの泉質と向き合う。そんな過ごし方が肘折温泉には似合います。

若松屋村井六助の自家源泉と、浴室の状態

若松屋村井六助ですが、嬉しいことに貴重な自家源泉ホルダーです。「村井源泉」という自家源泉を保有しており、実際に宿の温泉に利用されています。

お風呂は主に二つ。男女に別れた広めの内湯と、空いていればいつでもはいっていいコンパクトな貸し切り湯(幸の湯)です。

後で詳しく触れますが、大浴場では「組合源泉」と「村井源泉」の混合。貸し切り湯は「村井源泉」のみ自家源泉浴槽。マニアなら後者ですね。

大浴場、貸し切り湯ともにザバザバと源泉が掛け流されていて贅沢にお湯が溢れています。大浴場は、すごく雰囲気があって良いです。

大浴場入口。

更衣室も広い。

ドライヤーも風が強くて快適。

雰囲気がある大浴場。

右半分のエリアは浅くなっています。寝湯用?

自家源泉「幸の湯」入り口

小さい浴槽に自家源泉がドバドバ。

若松屋村井六助の温泉の泉質分析

若松屋村井六助の泉質について、泉質分析表をみていきましょう。こちらの泉質分析表は大浴場のものになります。

温泉分析表。

加水あり。あとは完璧。

泉質は、先程も触れたとおり、こちらの宿も肘折温泉の代表的な泉質である「ナトリウム – 塩化物・炭酸水素塩泉」になります。

源泉は、組合2号泉、組合3号泉、組合5号泉、村井源泉の混合になります。

湯の温度が高いため加水されていますが、そこまで水が多くないからなのか温泉の成分がしっかりしているからなのか全然気にならないですね。

成分の中で特に目立つのが、ナトリウムイオンの879.2mg、塩素イオンの991.2mg、これらから分かるように肘折温泉は第一に、塩分による保温効果がある温まりの湯になります。基礎体温上昇は、様々な面でプラスなので特に寒い地域の湯治に向いていますね。

次に目立つのが炭酸水素イオン912mg。炭酸水素はいわゆる重曹ですね。重曹泉としての側面もかなり強い。重曹泉は肌がつるつるになる美肌の湯でもありますが、傷やアトピーなどの慢性皮膚病にも効果的です。

塩化物泉や、重曹泉は、飲用でもおすすめの泉質です。重曹泉は胃酸の中和による胃の活性化により痛風、慢性の消化器病、糖尿病、肝臓病などに効果的と言われています。

次は、硫酸イオン239.4mg。こちらも炭酸水素と同様外傷に効果があり、動脈硬化にも効果があります。

カルシウムも72.7mg含まれていることから鎮静効果もきたいでき、やはり傷に良いです。名前の通りですね。

他に、注目される成分としてはメタケイ酸が146.1mg。メタケイ酸が100mgを超えると肌がしっとりする美容効果が期待できます。

さらに、メタホウ酸54.2mg。メタホウ酸は皮膚の殺菌効果があり、傷や皮膚病に効果的です。さらに眼病(白内障、眼底出血、眼精疲労、ドライアイなど)にも効果的です。

また、肘折温泉のお湯は総じて茶色く濁っているのですが、濁りの原因は2.3mg含まれている鉄(Ⅱ)イオンの影響が大きいと思われます。鉄も塩化物泉と同じで温まり効果が期待てきますが、含有量がそこまで多くないので他の成分ほど意識しなくてもよいかもしれません。

まとめると、肘折温泉の泉質は、かなり広範囲に渡る温浴効果が期待できるすごいお湯だと言えます。特に肘折温泉の由来通り、傷の回復や、皮膚関連への効果が高い温泉と言えそうです。

溶存物質の合計は、3,410mgと特殊成分基準値の1,000mgの3倍あること、また含まれている成分のバリエーションが多いことから、それなりに身体に負担のある温泉です。ものすごく強いというわけではありませんが、成分がしっかりした温泉に慣れていない方は湯あたりのリスクがあるので、長湯には気をつけたほうがよいでしょう。

さて、「村井源泉」のみを利用している注目の貸切風呂「幸の湯」ですが、残念ながら温泉分析表はありませんでした。ですが、宿の方に聞いたところ成分は「組合〇〇泉」と基本的に同じということでした。

ですが、実際に入ってみると分かるのですが、温泉の透明度が違います。村井源泉の方が透明度が高くフレッシュな浴感なんですね。この村井源泉は、宿の敷地から湧いているため、鮮度が高く、それが理由ではないかと思います。入ってみると分かりますが、全く別の泉質のお湯に浸かっているように感じるでしょう。透明度は、おそらく鉄分が空気に触れるまでの時間が短いことから起きるものではないかと思います。

もしかしたら鉄分自体が少なめなのかもしれません。飲んでみたらしっかり鉄の味がしましたが…。

基本的に、肘折温泉は、お湯の鮮度は素晴らしいのですが、その中でもさらに鮮度が高い温泉に浸かりたかったら若松屋村井六助の貸切風呂は最高ですね。しかも貸し切りというのも嬉しいです。

本当に素晴らしいお湯で、チェックインからチェックアウトギリギリまで、何度も入ってしまいました。

せっかくなので共同の上の湯(かみのゆ)へも

せっかくなので、共同湯へも行ってみます。

向かった先は、上の湯(かみのゆ)。宿からすぐ近くにあります。こちらの入浴料金は300円なのですが、肘折温泉の宿に宿泊していると無料の入浴券がもらえます。

この、上の湯ですが、雰囲気がすごく良いのですよ。浴槽にお地蔵様が祀られていて独特の雰囲気を醸し出しています。泉質は、うっかり分析表を撮影するのを忘れてしまったのですが、これまた「ナトリウム – 塩化物・炭酸水素塩泉」。概ね先程説明した泉質と同様です。

ただし!こちらの上の湯は、組合源泉だけでなく「上の湯1号源泉」「上の湯2号源泉」「上の湯3号源泉」と「組合源泉」の混合なんです。ということで、上の湯独自の源泉を堪能できるわけです。

その意味でも、泉質マニアであれば行く価値ありですね。

こちらで詳細のレポートをしています。

ちなみに、泉質としては「組合源泉」のみよりも全体的に成分量が薄めでナトリウム、炭酸水素など諸々が2〜3割減という印象です。

さて、温泉に入ってみると…、浴感が違いますね。まず、色が違います。組合源泉メインの湯のような茶色がかった色がありません。実際に分析表でも「鉄」に数値が入っていませんでした。鉄の含有量が微量なのかもしれません。

(ほんと、分析表撮影していなくてすみません…)

あとは、もしかすると、上の湯源泉が湧出地から近くお湯がフレッシュなのかもしれませんね。

上の湯は、扉を入ると大きな湯船があるだけで、シャワーなどの設備はありません。身体を洗うときは湯船のお湯を使う感じでしょうか。純粋にお湯を楽しむための場所ですね。

若松屋村井六助は食事のクオリティも高い

一品一品、味付けが丁寧

次はお待ちかねの夕食の時間です。

若松屋村井六助の夕食は個室食です。私の場合は、そのまま利用していない(宿泊客がいない)隣の部屋に移動して食事というスタイルでした。もしかすると、感染症対策などで、人数制限をしている今だけのスタイルなのかもしれません。

完全個室での食事になるため、落ち着いて食べることができます。

部屋に入ると、すでに写真のように食事の準備がしっかり出来上がっています。デザートなども含めて最初から配膳されているスタイルです。そのため、火を付けるすき焼などを除くと、予め作ってあるものでできたて熱々ではありません。

ですが!すごく美味しいのです。若松屋村井六助さんの食事は、一品一品丁寧に作られていて本当に美味しい。焼き魚なども冷めているのですが、なぜか美味しい。火入れが上手なのか、仕入れが上手なのか。

牛肉は美味しいし、馬刺しも、焼き魚も、お刺身もあるしタンパク質たっぷり。

ベーシックに美味しい旅館料理を食べたい!という人にはこの上ないご馳走ですよ。

写真の通り、品数も豊富なので、満腹になると思います。

朝食はシンプルで美味しい

朝食についても、特に変わったところは少ないのですが、やはり丁寧な味付けで美味しいです。夕食に比べると変わり種やインパクトがあるものがないので、朝食を豪華に行きたい人には、ちょっと物足りないかな。

でも、やっぱり美味しいんですよね。

すごく良い宿です。肘折温泉で宿泊するなら間違いない宿

というわけで総評ですが、めちゃくちゃオススメの宿です。温泉の質は高い、自家源泉もある。食事も美味しいし、部屋も快適なのに宿泊費は一人宿泊で1万円前後です。はっきりいって破格の料金です。13:00にチェックインできてしまうのも最高すぎます。

全国あちこちの温泉宿に泊まってきましたが、この価格帯の宿としては間違いなく最高クラスです。

あまりに有名になって予約できなくなったらやだなぁと思いつつ、最高クラスの宿として紹介したいと思います。

部屋に空きがあれば、迷わず予約しましょう。

今日も良い温泉を、ありが湯ございました!

肘折温泉はいいぞ。

この記事を書いた人

山田 竜也
温泉大好きフリーランスです。一年のうち結構な割合で、温泉か山にいます。専門分野はWebマーケティング分野。社会学、哲学、経済学など大好き。コンサルティング、広告運用、Web管理の他、自分の所有するメディアからの広告収入、セミナー講師、著書印税、イベント売上など10種類くらい収入源を作っていろいろ実験中です。ペンネームで本もいろいろ書いてます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です