こんにちは。竜也です。読んでいただいて、ありが湯ございます。
鎌先温泉は、昔から「傷の鎌先」と呼ばれる効能に定評のある温泉です。発見は1428年、農夫が水を求めて鎌の先で土を掘り起こしたら温泉が湧いて出たというのが由来のようです。呼び名の通り、切り傷に効能があり昔から湯治客で賑わっていました。
歴史と泉質に定評があるにも関わらず、温泉地としての規模は小さく4軒の宿しかありません。こういう、歴史があるのに知っている人が限られている温泉地っていいですよね。
今回は、その中でも最も歴史が古く伊達政宗も訪れたこともあるという湯主一條を訪ねました。
・2022年10月17日訪問
湯主一條までの道のり
鎌先温泉は、実はアクセスはかなり良好な場所になります。まず最寄りの駅が東北新幹線が停まる白石蔵王駅になります。
今回、私は前日松島に宿泊していたので仙台方面からのアプローチになります。ありがたいことに湯主一條は、白石蔵王駅と白石駅から定刻での送迎を行っています。
白石蔵王駅に新幹線で降り立てば、あとは送迎でらくらく旅館に到着となります。
湯主一條にチェックイン。建物と部屋の様子
宿についたらまずはウェルカムドリンクのりんごジュースを飲みながら手続きです。
接客も大変感じが良かったです。スムーズに手続き完了。
宿泊する部屋に移動します。予約した部屋は、一番リーズナブルな和室10畳のお部屋。他にもおしゃれな部屋、布団ではなくベッドの部屋、広ーい部屋…と湯宿一条は部屋のバリエーションが様々に用意されています。
言ってしまえば、湯宿一条は明らかに高級ラインの部屋もいくつもあることから、接客やサービスが原則、かなりの高級宿レベルなんですよね。
ところが和室10畳の部屋は、割となんの変哲もない普通の部屋で価格も抑えられます。この部屋に泊まると、部屋こそ普通ですが、各種高レベルなサービスや、後述するレベルの高い食事などのサービスが受けられるのでかなりコストパフォーマンスが高いです。
もちろん、グレードの高い部屋にも泊まるのも良いと思うのですが、ふらりと和室10畳の部屋に泊まりに行って癒やされてくるという使い方も、湯宿一条では可能ですね。
実際、リピーターの人はこの部屋を予約する人は多いのではと思います。
部屋は、普通の和室とはいえすごくキレイですし、眺めもよく、コーヒーメーカーがあったり、冷蔵庫には無料のおつまみとプリンがあったりと、過ごしやすいように工夫がされれています。全体的に好感度が上がります。
街をぶらぶら – おしゃれなお土産屋がありました
せっかくですので、チェクイン後、鎌先温泉をぶらぶら歩いてみました。とはいえ、宿4軒だけの小さな温泉街です。あっという間に歩けてしまいます。
湯主一條の建物から出ると、有形文化財の建物を眺めることができて素敵です。こちらが、食事棟になるようです。
坂を下って歩いていくと 最上屋旅館が。こちらも素敵な外観です。入り口に日本秘湯を守る会の提灯があります。気になるお宿です。
さらに歩くと、なにやらおしゃれな建物が「cafe & shop 粋(SUI)」というお店です。私がお店に入ったタイミングでは、残念ながら食事の提供は終わってしまいました。白石温麺(うーめん)を食べれたりスイーツやコーヒーなどをいただけるようでした。鎌先温泉に連泊したときのランチにも使えそうですね。
宿4軒しかない温泉地で、このようなお店があるのがちょっとびっくりですね。地域で運営しているんでしょうか。食事だけではなく、お土産屋にもなっており、センスの良い陳列で様々なものを扱っていました。鎌先温泉に来たら、寄ってみることをおすすめします。
その名も薬湯!源泉かけ流し。湯主一條の温泉の泉質について詳しく解説
さて、一息ついたらいよいよ温泉です。湯主一條には、二種類の温泉があります。一つが「洞窟の湯」、そしてもう一つは鎌先温泉の歴史を作ってきた「薬湯」になります。
露天風呂もあり、洗い場も浴槽も広い洞窟の湯…だが…。
まずは、浴槽の広い「洞窟の湯」から。洞窟の中に湯があるのではなく近くに洞窟があるから?このような名前になっているようですね。
こちらのお湯については、循環塩素消毒がされています。泉質は、後に紹介する薬湯の方が、はるかに良いです。
ただ、こちらの湯のほうが、浴槽が広い、洗い場の数が多い、露天風呂がある、ということで、広々、のんびりとお風呂に入りたい人には向いています。
そして、泉質の違いがよくわからない人が洞窟の湯に入ってくれるので、本命の薬湯が空いてくれるという効果があり、私にとってはありがたいですw
実際に、宿のスタッフと会話しているお客さんのおじいちゃんが「洞窟の湯はいいねぇー」と話していたのを耳にしました。どんどん洞窟の湯に行ってくれ!私は薬湯に入る!
ということで、しっかり塩素投入されている温泉ではありますが、軽く泉質に触れておくと、泉質は単純温泉で、ph7.8、弱アルカリ性の温泉です。とにかく癖の少ない泉質ですね。主要な成分は、ナトリウムイオン166.7mg、塩素イオン88.1mg、硫酸イオン104.3mg、炭酸水素イオン180.5mgと、塩類系で、硫酸塩泉と重曹泉の要素をうっすら持っている感じの温泉ですね。メタケイ酸が38.5mgと若干含まれています。
全体的に刺激が少なく、温まりと肌が滑らかになる温泉ですかね。入浴は24時間入浴可能なのがありがたいです。
本命はこっち!極上温泉の薬湯
もう一つが「薬湯」。こちらこそ鎌先温泉の歴史を作ってきた温泉です。600年の歴史を持ち、伊達政宗も入湯したという温泉。「傷の鎌先」と呼ばれる鎌先温泉の真骨頂は「薬湯」にこそあります。
薬湯は一階にあるので部屋からは階段を下っていきます。
浴室に入ると、歴史を感じる味のある空間にでます。すごく味のある空間です。洗い場は3名分ほどですが、それなりにスペースはあります。沢山の人が一気に入ってこないかぎりそれほど狭く感じることはないでしょう。実際、私は何回かこちらに入浴しに来ましたが、最大でも3人程度の人数しか入ってこず、快適に入浴できました。
薬湯のお湯は無色透明。よく見るとうっすらと茶色の湯の花が舞っています。さて、薬湯の泉質を分析表から紐解いてみましょう。phは6.8で、洞窟の湯と異なりこちらは刺激の少ない中性のお湯になります。泉質名は「ナトリウム – 硫酸塩・塩化物泉」になります。
成分の多いものを見ていくと、まずは、ナトリウムイオン436.2mg、塩素イオン359.5mg、硫酸イオン341.9mg、炭酸水素イオン223.1mg、そこから一気に少なくなってカルシウムイオン34.1mgとなります。
まず、ナトリウム系の成分が多いことから身体が温まりやすい温泉といってよいと思います。そして、「傷の鎌先」と言われる傷への効果ですが、ナトリウムイオンと硫酸イオンが豊富なことから芒硝泉として効果があり、血圧を低下させ、傷などの痛みを低減させる効果が期待できます。また硫酸イオンが豊富なことから皮膚の軟化作用が期待でき、傷の治りがよくなりそうです。また、わずかながらカルシウムも含まれているので鎮静作用も期待できるでしょう。
基本的に「傷に効く温泉」というのは「ナトリウム – 硫酸塩泉」か「カルシウム – 硫酸塩泉」がその要件を満たしやすく、薬湯は要件を満たしていると言えそうです。
また、炭酸水素イオンが豊富なことから、皮膚の表面をなめらかにする効果があるためこれも傷によさそうです。
最後に美肌成分のメタケイ酸は56.6と悪くはないのですが特に多くもなく、美肌の湯とは言いにくいです。
結論として、成分の数値を見ても堂々と「傷の湯」と言っても恥ずかしくない素晴らしい湯と言えるでしょう。
分析表を云々しましたが、もうこの「薬湯」ですが、本当に最高なんですよね。理屈抜きで素晴らしいです。温泉好きの方でしたらお湯に浸かればわかります。この溢れ出る極上湯。身体を包む、柔らかいお湯に癒やされることうけあいです。ほんと、ずっと入っていたい温泉です。
一品一品、満足度が高い食事
湯主一條の特筆すべき点は食事のクオリティの高さです。それも夕食、朝食ともに素晴らしいです。おまけに有形文化財の個室でいただくことができます。
夕食のレベルは文句なし
まずは夕食から。渡り廊下を歩いて建物を移動します。有形文化財の雰囲気がある建物を歩いていきます。テンションが上りますね。
個室に招待されて、食事がスタートです。夕食は最速で18:30からです。
湯主一條の夕食ですが、前菜から、お椀、お造り、蓋物…とすべてのメニューがとにかく美味しいです。今回、4,000円程度プラスの食事のグレードアップを頼んだのですが、グレードアップしてよかった!と思う食事のクオリティでした。味付けが優れているだけでなく、見た目も美しく、この価格帯の旅館としては最高峰に近い食事のクオリティだと思います。少なくとも私の好みにはぴったりでした。
全体的に、インパクトは見た目で与えて、食事の味自体は、好き嫌いが分かれそうなものは少なく、品が良く食べやすい味付けのものが多かったです。
お造りの味の水準も高いですし、仙台黒毛和牛のヒレステーキの火入れも完璧でした。食後のスイートポテトも満足感があって良かったです。これはまた食べに来たいなぁ。
食事が終わると、翌日の朝食について聞かれます。なんと、和食か洋食か選べるとのこと。洋食の朝ごはん好きの自分にとっては、ハズレのリスクにドキドキしながら洋食を選択しました。旅館なのに洋食を選択できるようにするとは…。
バーで一杯
夕食後は、バーでお酒をいただきました。本当は飲めないんですが、気分が良くて一杯だけカクテルを作ってもらっちゃいました。その後は爆睡です…。
朝食がすごい!選べる洋食
さて、湯主一條のもう一つのポイント。朝食です。純然たる和風旅館にも関わらず朝食がセレクトできるということで、今回洋食を選んでみました。内容は完全にアメリカンブレックファーストですね。朝食は最速で7:45からです。
結論から言うと、パンもスープも、オムレツも非常に美味しかったです。旅館だからといって手抜きなしのクオリティ。これはすごいんじゃないかなと感じました。
パンも焼き立てだし、ヨーグルトも自家製だし、野菜は生産者の名前が記してあるし、こだわりっぷりがすごいです。洋食おすすめですよ!
細かいところにも、目が行き届いていて、例えばコーンスープは冷めないように下に日がついています。
デザートも結構豪華で、朝食なのに、果物とずんだ餅がついてきました。本当に美味しかったです。次回泊まったときも洋食を選ぶと思います。
総評:リピートしたい極上宿
湯主一條さんですが、私が泊まった中でも特に好みな極上宿でした。まず、温泉が良い。ここで好みが分かれるかもしれませんが、とにかく「薬湯」の雰囲気と泉質が良いです。ひなびた共同湯が好きな方だったら絶対に良さがわかると思います。
そして、全体的なサービスの良さ。今回の宿泊のように和室10畳を選ぶと、コスパの良い宿に早変わりです。スタッフさんの気遣いや対応など素晴らしかったですし、部屋やその他諸々過ごしやすさが工夫されていました。
また、なんと言っても食事のクオリティが頭二つくら抜けています。洋食が選べてクオリティがめちゃくちゃ高いのも私の好みです。
湯主一條は、私が今年、特に気に入った宿の一つです。必ず再訪します。
今日も良い温泉を、ありが湯!生き返りました!
鎌先温泉はいいぞ。
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